ジャズとテニスの雑記帳

ジャズ・テニスそしてオーディオやミステリーについての日常を綴ります

ジャズ徒然草 3 JAZZ遺言状  寺島靖国著

寺島靖国

東京吉祥寺のジャズ喫茶「メグ」のオーナー。今は他の人に任せているようですが。

著作も多く、そのうちの一冊「JAZZ遺言状」

 

 

雑誌の記事は良く読んでいたのですが、まとまった著作を読むのは初めてです。

 

私のイメージでは、ジャズを本流にとらわれず幅広く自由に聴く方、というものです。

本流派といえば、例えばこの方「Nelson’s Navigator for Modern Jazz」。ジャズを本当に良く聴かれていますね。

本流派でない派と言うと、例えばAvantgard派・・私のことでなく、もっと強力な人のことですよ。

 

氏は、前書き7か条にあるように、ジャズをもっと自由に楽しく聴くことを提案されています。

 

有名なジャズ愛好家と私を比較するのも僭越ですが、本の内容で、そうかなあ? と思うこと位はあるかも知れないと思っていました。

しかし、「ジャズ遺言状」を読み終えて、そんな考えはなくなりました。この方、ジャズ愛に溢れていますね。

音楽の好みは、私とは違いますが、それがどうした!ということです。

 

寺島さんは1938年生まれ。10歳年上の方です。

この著作は、2010年10月から2018年7月までに書かれたもので、氏の年齢でいうと、72歳から80歳にかけてということになります。

そして84歳の今も現役です。

 

最後に、特に印象に残った三つの記事から

 

「最近開業したジャズ喫茶のオーナーはどうだろう。穏やかなものである。(中略)今頃の人はたいてい定年退職後に店を開く。何十年も会社に仕えてきたのである。人間が練りに練られているのである。人当たりが良くなって当然だ。

 それに比べ、昔のオーナーは殆どの人が会社勤めをしたことがない。社会に出ず、いきなり店を始めた人もいる。いじめられたことがない。いじめられてはじめて人は人になるのに、その経験がないから出来損ないができる。」

(2014年8月)

 

「敗戦前、日本の首脳部は敗戦処理を考えた。ソ連に仲介をとってもらい(中略)・・・その直後、スターリンソ連軍は日ソ不可侵条約を条約を破って(拙注:ヤルタ協定密約に基づく)千島列島に侵攻した・・・」

「(日ロ関係改善に)安部さんは頑張ったが、プーチンはそんな甘い男ではない。日本では考えられないが、暗殺も辞さないロシアという国家が背後にある」

(2017年3月)

 

「東京で見たミュージシャンを思い出すと、その時実感したことは、長い人生の間に当然違って然るべき」

東京公演で見たミンガス、デクスター・ゴードンビル・エヴァンス等の印象が、年を経ると変わる、というお話。

(2017年9月)

拙注:どう変わったのか? 心打たれる内容です。この項は、是非著書をお読みいただきたい。

 

(ジャズでなくJAZZでした。歳のせいかなあ・・5月30日訂正)