8月15日の拙ブログ記事のテーマ、翔田 寛 著のミステリー「油絵は謎をささやく」
あまりの面白さに、この作家さんの他作品を続けて読んでしまいました。
2000年のデビュー作「影踏み鬼」を含む五つの短編集です。
長篇のタッチを感じさせる重厚感です。ひらめきで書ける作品ではありません。
作家さんは当時42歳。書いているのは、才能、研究、経験を必要とする創作だと思います。
こちらは「江戸川乱歩賞」の受賞作「誘拐児」です。2008年、作家さん50歳時の作品。
面白かった?のは、選考委員の一人から「重要な証拠を、犯人が・・」という辻褄上の問題点が指摘されていました。
作品を読みながら、私も同じことを考えていたので、思わずへへと・・・けっして”慧眼でしょう”と言っているわけではありません(笑)。ちょっと嬉しかったです。
それはともかく、十分に緻密な構成の中で、サスペンスも発出させながら進んでいく展開、そして着地も見事です。
ミステリーは「発想」と「展開」そして「着地」(結末)が命だと、私は考えています。
ストンと音がするように腑に落ちる結末。音はしなくても、唸らせる結末。ミステリーの醍醐味です。
翔田 寛 いいですねえ。
余談ですが、ある超人気ミステリー作家さん(営業妨害になってしまいそうなので、誰とは言いません)について、私は「着地」に難ありと感じています。
この作家さん、「発想」と「展開」が抜群なので「着地」に物足りなさを感じさせるのかも知れません。
久しぶりに、こっちの作家さんの最新作を読んでみようかな。