音響設計家・豊田泰久及び関連の建築家、指揮者たちを取材した一冊。
著者は朝日新聞社の石合力。1964年生まれ。
2021.3.30 発行。著者57歳。
豊田泰久さん、1952年(昭和27年)生まれ。
今年70歳。
ジャズファンの私でも知っているサントリーホールの音響設計者
しかし、詳しくは知りませんでした。
いやあ偉人ですね。
コンサートホール音響設計のおもな業績をあげると、
東京 サントリーホール (1986年)
京都コンサートホール (1995年)
札幌コンサートホールKitara (1997年)
ウォルトディズニー・コンサートホール (2003年)
ミューザ川崎シンフォニーホール (2004年)
マリインスキー・コンサートホール (2006年)
上海シンフォニーホール (2014年)
フィルハーモニー・ド・パリ (2015年)
ピエール・ブーレーズ・ザール (2017年)
ロンドン (プロジェクト進行中)
クラシックファンなら先刻ご承知のことだとは思いますが、
音響の優れていることで有名なホールを、世界中にこんなにたくさん設計しているんですね。
本著書では、豊田さんと「建築家」「指揮者」との関係も見事に描かれています。
優れた建築家は音響について豊田さんの設計を最優先し、中(音響設計)が決まるまで外(外観)の設計はしない。
新ホールのプロジェクトでは、そのホールの音楽監督である指揮者が豊田さんの設計を熱望する。
指揮者のリハーサルで豊田さんがホールの観客席でオーケストラの響きのバランスを確かめる。
私が一番興味を感じたのは、
ラトル、ゲルギエフ、ヤンソンス、バレンボイム、デュトワ、サロネン等の指揮者との関係の描写を通じて、指揮者のしていることに対する、私の理解が進んだことです。
オーケストラを育てる指揮者、コンサートホールを育てる指揮者の描写。大変面白かったです。
オーケストラは楽器
コンサートホールも楽器
豊田さんがベルリン・フィルハーモニーに育てられたように、50年・100年後に、豊田さん設計のホールに育てられた設計家が出てくるのでしょうね。
海外はもちろん、国内のサントリーホールやミューザにも出かけられない(個人的事情で)現況の私です・・・会員である地元のホールにもっと注目しようかな・・・