リターン力の上がった現代テニスにおいて、サーブの何が重要なのか!
フェデラー&ジョコビッチのサービスゲームを念頭に置いて、サーブに必要な要素について考えてみます。
〇 フラットサーブ
200km前後出せれば十分。
速いに越したことはないが、球速目一杯のサーブの反動で、サービスゲームが不安
定になっては本末転倒。
220kmのスピードよりも大切なことがあります。
〇 スライスサーブ
単調にならないために、変化量をコントロールできることが大事。
〇 スピンサーブ
現代テニスはバックハンド両手打ちが発展したので、昔のようにバックにスピン
を入れとけば・・という時代ではなくなりました。(アマチュアのテニスでも、そ
の傾向はあります)
キックの効いたスピンサーブを、いつ使うかが重要。トッププロは、意表をついて
ファーストサーブに使ったりします。
〇 コントロールの精密さ
最も重要な技術のひとつがコントロール。
コントロールと言っても、隅だけでなく、甘く入れるコントロール、外すコントロ
ールも技術として必要。
〇 タイミングの変化
コントロールと共に、最も重要な技術のひとつ。
いや、もしかしたら、「タイミングの自在な変化」に尽きるの
かも知れない。
特にクイックサーブが高いレベルで打てることが重要。
クイックサーブを高確率で正確に打つのは、最も難しい技術だと思
います。
通常のゲームでは、ピンポイントでギリギリを狙うことは少ないです。
それでも、リターンの球が予測できるサーブを打てるのでポイントを支配できます。
セカンドサーブもスピードとコースは厳しくない。なので、試合の前半はブレークされることもあります。
ジョコビッチは、この段階で、対戦相手に、そのレベルのサーブに適応させておく。
要するに、餌を蒔きながら試合を進めていくわけです。
そして、
ピンチの時に、サーブを変えられる。
それは、人が変ったように。正に変身です。
コントロールの精度が上がる。スピードが上がる。セカンドサーブも同じ。
その中で、特に厄介なのが、クイックサーブです。
クイックサーブの典型の例です。
アドコートから、ワイドへ回転数を増やして打つ。クイックなのでレシーバーは反応のタイミングがとれない。何故とれないかというと、ラケットがボールの真後ろから素早く振られる、それまでよりワンテンポ素早く振られるので、スプリットステップが遅れてしまう。相手選手は見逃すしかない。
220kmのサーブより有効です。
デュースコートからのワイドサーブ(スライス)、アドコートからのワイドサーブ(スピン)、そしてどちらのサイドからでもセンターTの字へクイックで打ち込める。
要するにそれまでのサーブと球威、コース、タイミングの違うサーブを繰り出す。
クイックサーブはサーブの天才フェデラーが最も得意としていた技術です。
このように、ジョコビッチはサーブを自在に使い分けるため、対戦相手は突如別の選手のサーブ、しかも特級のサーブを目にすることになる訳です。
36歳という年齢でこのテニスを維持しているのは、本当に凄い。
ジョコビッチに近いサーブを使っているのがシナーとルーネだと思います。
願わくば、アルカラスも身に着けてほしい。
来シーズンこそが、旧世代・次世代・新世代の覇権争いのピークになるかと思うと、もう、テニスから眼が離せませんね・