長篇ミステリーの巨匠アンソニー・ホロヴィッツの「殺しへのライン」
奇怪な元刑事ダニエル・ホーソーンが登場するシリーズの第3話です。
謎解き本格ミステリーの構造が複雑で、犯人あては困難を極めます。
もちろん、その手掛かりは数多く示されている訳ですが、それを組み立てることが読者側に求められます。
海外ミステリーを読むときの文化の違いも感じます。
しかし、アンソニー・ホロヴィッツの作品は、読み応えのある充実の時間を与えてくれます。
劇中の登場人物でもある作者ホロヴィッツ自身の、相も変わらない間抜けぶり?も見事です。
ホーソーンのシリーズは、各巻ごとに完結しているのはもちろんですが、
ホーソーンの物語でもあります。
むしろ、そちらを描くために、種々の事件があると言った方が正しいのかも知れません。
作品が進むごとに、ホーソーンの謎にピースが埋まっていくのでしょう。
作者は、ホーソーンのシリーズは第7話まである、と述べています。
今のところ、毎年1話が刊行されています。
本著「殺しへのライン」が本国イギリスでの発表が2021年、日本では1年遅れの2022年。
このペースでいくと、完結編の第7話を、私が読むことができるのは、2026年ということになります。
生きていたいですねえ。
綾辻行人のAnother4(勝手な仮称)も読みたいし。