村井康司著 「あなたの聴き方を変えるジャズ史」
2017年10月の刊行
村井康司さんは1958年生まれ。
先日の「JAZZ遺言状」の寺島靖国さんは1938年生まれ。
私は1948年生まれですから、それぞれ「10歳違い」です。
それがどうした? ですね。
区切りがいいです。時代を考えるうえで。
ついでに言えば、
故児山紀芳さんは1936年生まれ。
このお二人とは「ひとまわり違い」
やはり、時代を考えやすいということで記憶しています。
もう一つついでに言えば、私と同い年は、江夏豊・山田久志の両名投手です。
前置きが長くなりました。
本書ほど幅広い視点からジャズ史をまとめたものは他にないと思います。
私も半世紀以上ジャズを聴いていますので、その間にジャズ史の書籍には何冊か触れています。
この本は、これからの人生の長い若い方にぜひ読んでいただきたい。読んで損はない!
腑に落ちる記述を抜き書きしてみます。ほんの一部です。
「当たり前の話ですが、ジャズがジャズだけで存在し、他の音楽や芸能・芸術などの影響をまったく受けていない、ということはあり得ませんよね」
「ルイ・アームストロングの20年代の演奏によって、ジャズは「芸術」としての歩みを始めたのでした」
「ビパップの音楽的語法は、チャーリー・パーカーという天才ひとりによって開発された」
「モンクというジャンル」
「ミスター・ドルフィー、私たちはあなたの音楽を掴まえたいのです。音楽の未来のために!」
「自分が45年にわたってリードしてきた「ジャズ」にきっちり落とし前をつけて他界したマイルスは、最後まで「ジャズ界で最もかっこいい男」であったことは間違いありません」
等々
巻末に「あなたの聴き方を変えるジャズ史」を、より深く知るためのCDガイド(420枚)があります。
これは聴かなくては、と思う盤が、きっとあると思いますよ。
どうしようかなと迷いましたが・・・やはり最後に書きます。
本著では、フュージョンやエレクトリック・マイルスにかなりの頁を割いています。しかし、私はこれらの音楽に「ジャズ」を感じません。
ジャズはその発生から1970年頃の約70年の間にほとんどすべてをやり尽くしました。
現在、ジャズの芸術性を継承しているのは「フリー・インプロビゼイション」だと考えています。典型という意味で。
クラシック音楽に例えると解りやすいと思います。
クラシックは、バロックからロマン派の約300年の間にほとんどすべてをやり尽くしました。
現在、クラシック音楽の芸術性を継承しているのは「現代音楽」と呼ばれているものだと思います。こちらも典型としてです。
以上は「あまりに商業性の高い音楽は、ジャズ・クラシックとは言いたくない」という、私の意見です。
商業性の高い音楽は流行でありファッションであると思います。
その存在についての是非云々はいたしません。
が・・・
クラシックはもちろん、ジャズも、もっともっと芸術性を意識すべきだと思います。音楽家に限らず、音楽愛好家においてもです。
こういう考え方、たぶん、あまり一般的じゃないだろうなあ・・・
それでもなお、たまには、芸術性の高いJAZZをお聴きになることをお勧めします。