川上未映子の読書 その4
「あこがれ」 2015年10月20日 発刊 248頁
「夏物語」 2019年 7月10日 発刊 543頁
長編2作
前者は、小学生の友人二人のそれぞれの思春期(と思っていましたが、それより前の年代でした)の重大な出来事を、立場を換えて共有する話です。
後者は、登場人物達の「生命についての洞察」がぶつかり合います。
両作品とも、一部・二部に分かれています。
一部と二部の間には時間の経過があります。
「あこがれ」は2年
「夏物語」は8年
この経年が、描写される世界に深みを加え、存在感が深まります。
この作家さん、衝突の作家ですね。
相反する単純衝突だけでなく、二律背反的な衝突も渦巻きます。
純文学です。
川上未映子を読むために選んだ9作品、最後の一冊です。
「春のこわいもの」 2022年2月25日 発刊 201頁
これは、
六つの短編集の体裁ではあるけれど、ひとつの長編として読めます。
本作品は、作家の胎児のような状態を感じます。
今後の作品のマグマのような。
そして、デビュー当時の詩集を思い起こさせる文体、強い個性です。
川上未映子の9作品を読んでみました。
人、特に女性の葛藤を中心に描く作家さんだと思いますが、作品の今後の変化展開はどうなるのか、どんな世界を生きていく(描いていく)のか・・・
また、読んでいる私自身はどこに居るのか・・・
今後の新作を読み続けることになりそうです。
最新作は 「黄色い家」 2023年2月 発刊
当地図書館は18冊所有。212人待ちです。
ひとり2週間借りられるので、単純計算で165日待ち。
”超”は付かないにしても、人気ありますね。
他の作家の本を読みながら待つこととします。